岩手県宮古市でキュウリやブロッコリーなどの野菜を生産する上坂喜和さんは、冬の農閑期の収入につなげるため、炭作りを始めて2年目になる。原料は野菜を生産する圃場周辺の木を伐採して使用することで、鳥獣被害の減少にも手応えを感じている。炭作りは3月いっぱいまで続き、約1.5トンの炭を生産する予定だ。
上坂さんは住む宮古市田代地区では、野菜の生産者が増え作付面積が拡大する一方、鹿やイノシシなど鳥獣被害も増加している。電気柵も設置しているが、確実な効果がでていない。圃場の周辺の木を伐採することで、人と動物の生活圏を分けることで鳥獣被害の減少に期待していた。
上坂さんは「昨年、圃場に隣接する約10アールの山の木を炭の原料用として伐採したことで、以前から作付けするニンジンやダイコンへの鹿の被害が少なくなったと感じた。地元産の炭の需要もあるので、圃場周辺の山林を中心に整理することで炭の生産量も増やしつつ、野菜への被害減少につなげていきたい」と話す。
炭窯は新たに約4メール×3メートルの大きい窯に作り替え、1回で約300キロの炭が出来上がる。完成した炭は、地元のお寺のや現場で暖を取るための需要が高く、個人からのリピータ―も増えている。
「今は手探り状態ではあるが、将来的には炭窯を増設し品質の高い炭作りで冬場の安定収入につなげ、春から本業の野菜作りに集中したい」と笑顔を見せる。