農のかたち〜私流〜

楽しさを感じ リンドウ農家に

雫石町でリンドウ45aを作付けする葵さん。夫の母親である奈々子さんの知り合いの農家で働き始めたことがきっかけでリンドウ栽培に興味を持った。楽しそうに、みんなで助け合って作業する姿に魅力を感じ、自ら栽培することを考え始めた。資金面など不安はあったが、奈々子さんやJAの担当者の協力により令和5年に就農。自分で決めて動き、その結果がでることにやりがいを感じ、リンドウを栽培しマイホームを建てることを夢に、日々汗を流している。

楽しさに引き込まれ

農家育ちではなかった葵さんは、農業には縁もなく育っていた。奈々子さんが地域の花農家との繋がりがあったことで、リンドウ農家で働いてみないか?と言われたことがきっかけで農業に関わることになった。経験はなかったが、実際に働いてみたら楽しいと感じるようになっていた。「みんな明るく楽しそうにやっている。気が付いたら自分も楽しく農作業をしているのに気付いた」と話す。

農場の様子

そんな姿を見ていたJAの担当者が、自分でやってみないかと声を掛けていた。作業にも慣れてきて、やってみたいという気持ちはあったが、就農するにあたっての課題もあった。「自分で始めるには、支柱やマルチ、苗代など初期費用が必要で、資金面が大きな壁だった」と振り返る。新規就農者向けの補助金の制度はあるが、制度を使うことは考えていなかった。

出荷の様子

そんな時、奈々子さんが初期費用を貸してくれることになった。費用面の課題はクリアされ、就農に向けて動き始めた葵さんだが、就農を決意したもう一つの理由もあった。それは、JAの担当者の「まかせろ!」と言う言葉だった。「分からないことは何でも聞けて、圃場に来てもらって教えてくれる。その安心感が就農を決意する大きな理由だった」と話す。まわりの支えがあり、令和5年に15aの作付けで就農に漕ぎ着けた。

プレッシャーからやりがいに

就農することができた葵さんだが、希望の中にもプレッシャーも感じていた。「借りた初期費用はいずれ返済しなければならないということが頭の片隅にあった」と打ち明ける。また、出荷初年度は収穫が間に合わず、取り遅れで出荷できないものもあった。また、良かれと思って自分で選定した品種が上手く育たないという失敗も経験した。「失敗することで、相談できる環境があることの大切さを身に沁みて感じた。分からないことは相談して学んでいくようにした」と話す。

農場の様子

就農3年目には離農した方の圃場を受け継ぎ、2倍の面積を管理することになった。前年の取り遅れた経験を反省し、早めの行動を心掛けるようにした。「防除など天気に左右される作業もあるので、天気を読むことを意識した」と話す。忙しい時期はあったものの、昨年の2倍の面積で全て出荷することができた。
また、秀品率は前年の3倍となり収入面も大きく改善した。「しっかり作業することで収入が増えることを実感した。ちゃんと稼げば、借金の返済もできる」と話す。自分で決めて動き、その結果がでる。それも農業のやりがいの一つとして感じている。

農場の様子

先輩農家が楽しそうにやっている姿がきっかけとなり始めたリンドウ栽培。多くの人の支えがあり成長し、現在は農業経験がなかった母と作業をしている。「農業経験がなくてもリンドウを始めた経験は、これからの人に伝えていきたい。そのためにも、今後の経営内容もいいものにしていきたい」と目を輝かせている。

現在は、奈々子さんがやっているリンドウの苗作りも手伝っています。地域のリンドウ生産を支える大切な仕事で、いずれは引き継いでやれればと思っています。また、就農当時に目標としていたマイホームについても着実に現実に向かって進んでいます。夢を叶えるために頑張っていますが、一人ではできないことだと感じています。多くの人の支えに感謝しています。

プロフィール

松ノ木 葵

松ノ木 葵 まつのき あおい さん

時間がある時は、ネイルチップや編み物をし、完成したものは軽トラ市で販売しています。

※広報誌「夢郷」 2026年8月号掲載時の情報です。掲載情報が変更となっている場合がございます。