農のかたち〜私流〜

教わった農の魅力 多くの人にも

宮古市でブロッコリー2.3 ha、キュウリ15a、スイートコーン30a、ダイコン50a、白菜10aを作付けする喜和さんは、今年で就農から19年目を迎える。喜和さんが住む宮古市田代地区は中山間地域で決して恵まれた土地ではないが、地元が好きで子どもの頃から思い描いてきた「農業」で生計を立ててきた。就農当初は不安もあったが多くの仲間との出会いが、農業の魅力ややりがいを感じるきっかけとなっていた。現在では、新規就農を目指す研修生も受け入れ、農業の魅力を伝えている。

地元でできる仕事

4人姉弟の末っ子で長男の喜和さんの実家は、キュウリと短角牛を飼養する農家だった。地元の自然が好きで、子どもの頃から農業に興味を持ち、手伝いの中で楽しさも感じ、自分に合っていると思っていた。そして、農業を仕事にしたいという気持ちがはっきりしたのが中学生の時だった。

農作業をする様子

学校菜園で育てた野菜を収穫し、調理して食べてもらった時「おいしかったと言われ、自分で作った野菜を人に食べてもらえることに幸せを感じた」と、当時を話す。その時、実家が農家だったと改めて気付き「地元で仕事をするのであれば農業だ!」と、進むべき道がはっきりした。その後、高校と農業大学校へ進み農業をやるべく知識を学んだ。卒業後は就職しながら実家で農業をしようとも考えたが「自分がやりたいのは農業だ!」と思い、実家に戻り就農する道を選んだ。

大根を収穫する様子

多くの出会いに育てられ

就農当初は、両親を手伝い産直へ野菜を納品するなど親に言われたことを何となくこなしていた。「農業はやっているが、不安も感じていた」と当時を話す。実家で農業をしているが、まわりに農家の知り合いや仲間がいなかったのが大きな原因でもあった。

そんな中、JAの担当者が変わり近隣の先輩農家を紹介してもらった。「自分の家の農業だけ見ていたが、規模の違いに驚いた」と話す。また、農業を志す『仲間』として受け入れてもらい、分からないことは何でも聞ける関係になっていった。「圃場を見せてもらえるのはもちろん、自分の圃場にも足を運んでもらいアドバイスをもらえた」と話し、時には手伝いに通い作業のやり方なども教えてもらった。そんな中で、ブロッコリーがキュウリと作業がかぶらない品目と教えてもらい平成26年から作付けを始めた。

先輩農家の皆様と

「何でも相談できる仲間が自分を育ててくれた」と話す喜和さん。グローバルGAPの認証取得の際に出会った奥中山地域のレタス農家、久慈地域の野菜農家など、その後も多くの農家と積極的に交流してきた。そして、現在は新規就農を目指す研修生も受け入れ、2人が既に就農している。「今、楽しく農業ができているのは、多くの仲間との出会いがあったからこそ。そのことを多くの人にも伝えていきたい」と笑顔で話す。

一方で、自分が生まれ育った土地で農業を続けていくためにと、冬場の収入源の一つとして炭作りも始めた。中山間地域では鳥獣被害も深刻な課題。「炭作りの原料のナラを調達することで山の手入れにもなり、被害が少なくなると期待している」と話す。

炭作りの様子

多くの人と出合い、そして学び、楽しく農業ができることに感謝している喜和さん。自分だけではなく皆んなで喜べる農業を目指している。そのために、自分が愛する地元で農業を続ける道を模索しながら、農業経営者として更に磨きをかけている。

「おいしいと言ってもらえる野菜をこれからも作りたい」と話す喜和さん。農業の楽しさを仲間から学び、それを伝える機会として新規就農希望者の研修を受け入れています。現在までに3人が研修し、2人は既に就農していますが現在も交流を続けています。

プロフィール

上坂 喜和

上坂 喜和 うえさか よしかず さん

自然が大好きで、農閑期は冬キャンプでゆったり過ごすのを楽しみにしています。

※広報誌「夢郷」 2026年1月号掲載時の情報です。掲載情報が変更となっている場合がございます。