がんばれ、担い手!

牛の質を上げ、堅実な経営を

共進会をきっかけに

八幡平市で酪農を営む愛也さん。北海道の酪農学園大学卒業後に実家に戻り、父と祖母と経産牛42頭、未経産牛38頭を飼養し、3年が過ぎようとしている。

酪農家の3人兄妹の次男として生まれ育った愛也さん。小学校に入ると野球を始め、練習や試合に明け暮れる生活が続いた。「小さい頃は牛舎で遊んでいましたが、野球を始めてからは足が遠のきました」と当時を話す。その後、高校の進学を考える時期になった愛也さんは、実家が酪農家ということと父の母校でもある盛岡農業高校への進学することにした。「兄が酪農は継がないと言っていたので、もしかしたらという気持もあった」と話す。

牛の世話をする愛也さんの様子写真

高校に進み、学校で牛の世話をするようになった愛也さん。月に2回は泊まりでの当番もあり、初めて搾乳の作業をした時には仕事としての面白さも感じていた。「実家では手伝っていなかったので、搾乳も高校に入って初めての経験でした」と話す。その頃から休みには実家に帰り、手伝うようになっていた。そして、酪農家を目指す気持ちが強くなったのが、高校2年生の時に出場した共進会だった。高校と実家で出品しリードマンを務めた。翌年、北海道で開催された全日本ホルスタイン共進会にも出場。「全共に行った時は、北海道の牛の違いに驚いたが、このことが酪農家を目指す意志が固まるきっかけでした」と笑顔で話す。

北海道で学ぶ

高校卒業後の進路について大学へ行こうか迷っていた時、北海道の酪農学園大学を薦められた。オープンスクールにも足を運び、環境の良さに進学を決めた。大学に通いながら近くの酪農家でアルバイトをすることで、知識と経験を身に付けていった。「北海道に行って感じたのが、牛の大きさや餌の食べる量の多さなど、スケールの違いでした」と話す。大学の4年間、同じ農場で働きながら学んでいた愛也さんだが、その農場での経験が酪農家としての基礎を築き上げていた。「初めは朝夕の作業だけでしたが、休みの日には毛刈りをはじめ農業機械での作業など、酪農家として必要な技術も身に付けていました」と話す。卒業を迎える頃には農場の親方にも認められ酪農家としてのスタートラインに立ち、令和2年の春に実家に戻ってきた。

牛の世話をする愛也さんの様子写真

堅実な経営を

「実家に戻って来て感じたのは環境の違いでした」と話す愛也さん。広大な土地の北海道と比べて作業効率が気になることがあった反面、今ある中で効率よく作業してきた父の経営能力の高さにも驚いた。「今まで父が堅実にやってきたことが理解できた。父も私もやりたいことは話し合い、計画的な経営ができていると感じている」と話す。愛也さんが戻ってきてからは、ゲノム検査の導入などで生産性を高めている。

牛の世話をする愛也さんの様子写真

現在は、今の規模で収益性を高めるため牛の質を上げて個体の生産性の向上や、効率良く決めた時間で作業を終わらせることで、自分の時間を作ることを意識している。「今後は、共進会にも積極的に参加することで人との繋がりを大切にし、牛を見る目も高めていきたい」と話し、2年後に開催される全共への出場も視野に歩みを進めている。

プロフィール

田村 愛也

田村 愛也 たむら まなや さん

スポーツが好きな愛也さん。小学校から始めた野球を続けて試合にも出場し、冬はスノーボードなどで楽しんでいます。

※広報誌「夢郷」 2023年3月号掲載時の情報です。掲載情報が変更となっている場合がございます。