がんばれ、担い手!

信用される繁殖農家へ

責任感からのスタート

岩手町で和牛繁殖牛を飼養する秀樹さんは、24歳の時に祖父から受け継ぎ、現在は勤めながら両親と一緒に親牛31頭と子牛17頭を飼養管理している。

3人姉弟の長男として育った秀樹さんは、祖父が牛を飼う牛舎が遊び場という環境だった。小学生からはホッケーを始め部活に明け暮れる生活が高校まで続いた。卒業後は介護福祉の専門学校に進み介護老人保健施設へ就職、介護福祉士として働いている。

就職から数年経ったころ、祖父が高齢により牛の管理が思うようにいかなくなり、十数頭いた牛は3頭にまでなっていた。「祖父が地域で初代の部会長を務めていたので、やめる訳にもいかないという思いもあったが、まずは、やってみよう!という気持ちだった」と当時を話す。そして和牛繁殖農家としての生活が始まった。

経験の積み重ね

祖父が働く姿は見てきているが、知識も経験もない秀樹さん。当初はJAの担当者や地域の農家さん、獣医さんと様々な人から教えてもらいながらの生活だった。「ちゃんと学校に通い、農業や畜産について学んだ方が良かったのではないかと思った時期もあったが、いろいろな人から聞いた事を実践して失敗もしてきた。今となれば、一つのやり方に拘らず何でも吸収でき、興味を持ってやれているので良かったのかな」と苦笑いする。

しかし、当初から順調だった訳ではなく、分娩事故なども経験している。経験不足ということもあったが、何かできることがあったのではと涙を流すこともしばしばあった。「牛がいることで生活ができている、そして、命の大切さは子どもたちにも隠さずに伝えるようにしている」と話す。

また、当初から思い描いていたのが、20年働きながら規模を拡大し専業になるという計画だった。祖父から譲り受けた3頭から始まり、現在は31頭の母牛を飼育。「5年以内には仕事を辞め、専業で50頭の飼養を考えている」と話す。知識を蓄えながら将来しっかり経営できる基盤づくりを意識していた。鳥取県や九州にも自ら足を運び、能力の高い母牛の導入や購買者である肥育農家との繋がりを大切にしてきている。「最終的な枝肉の成績や評価をできるだけ聞くようにして、飼養管理の改善につなげている。自分が出荷した牛が選ばれることが認められていると実感できる。目標は、信用で買ってもらえるようになることで、反面、妥協できないという責任にもつながっている」と話す。

全共鹿児島大会への出場

今年の10月に鹿児島県で開催される全国和牛能力共進会への出品候補牛を飼養管理する秀樹さん。「やれることはやってきている。地区選抜、県選抜で選ばれ、全国和牛能力共進会に行くのが当面の目標」と、意気込みを話す。確実に積み重ねてきた知識と経験、まわりの協力を得ながらの挑戦となる。

そして、「岩手町にも頑張っている畜産農家がいる。岩手町の畜産を県内外に広くアピールしていきたい」と話す。当初から取り組みを進めてきた経営基盤の確立も見えてきた今、これからが本番となる秀樹さん。地域を牽引していく頼もしい存在になりそうだ。

プロフィール

横田 秀樹

横田 秀樹 よこた ひでき さん

「3人の子どもたちがホッケーで活躍しているので、いろいろな所に行けるのが楽しみ」と笑顔で話す秀樹さん。

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