農のかたち〜私流〜

トマトとイチゴで 通年安定雇用へ

盛岡市でハウス43棟で大玉トマト、ハウス3棟でイチゴを生産する龍輔さん。経営者を目指し農業の世界に飛び込み14年目を迎える。現在は、2年前に導入したイチゴ栽培でほぼ通年を通した収入により、6人の通年での雇用とパート約20人を雇用している。トマトとイチゴの2本柱で法人化も視野に、経営者としての歩みを進めている。

経営者目指し農業の世界へ

専門学校卒業後、建設関係の仕事をしていた龍輔さん。30歳を過ぎた頃から自分でも経営してみたいと考えるようになっていた。将来は、地元に戻り地に足を付けて働きたいという気持ちが強く、人々の生活を下支えする一次産業に魅力を感じ34歳の時に「農業」という未知の世界に飛び込んだ。

農場の様子

当初は農業の知識や伝手もなく、行政へ相談に足を運んだ。もちろん、農地もなく品目も決まっていなかった。「経営をしたい」という気持ちから動き始めたが、具体的な計画は立っていなかった。そんな時、キャベツ農家のアルバイト募集のチラシを目にした。当時は菌床シイタケも考え、冬はシイタケを作っていたので応募し働くことになった。

農業経験のない龍輔さんだったが、働きながら色々と農業のことを教わった。そして、新規で始めるなら冬に暖房を使わず少ない面積でできるトマトを勧められ、八幡平市の農家を紹介してもらった。翌年からトマト栽培を学びながら就農に向けて準備も進めた。「研修先はトマト栽培の技術も経験も豊富で今でも師匠的な存在」と話す。そして36歳の時に20aのハウスで栽培を始め、農業経営が始まった。

農場の様子

雇用する経営

就農当時は母親に手伝ってもらっていたが、辛そうな姿を見て3年目には雇用する経営へと舵を切った。また、ビニールハウスは中古を探し、前職の経験を生かして自分で建て経費を抑えていた。「初めは経費を抑えるように研修先の農家から言われた」と話す。4年目までに約15棟のハウスを中古で探し、規模拡大を進めた。規模拡大の目的について「『量は力なり』という言葉があり、生産力向上が産地の強みにもなる」と語る。

一方で、冬場の収入に苦戦した。レタスなどを作付けしたが、思うようにいかず、しっかり採れるように手をかけるとトマトの管理が疎かになるという悪循環に陥った。

いちご

そんな中、従業員からイチゴを作ってみたいという声が上がった。雇用の多くは女性で、トマト栽培との相性の良さも感じた。また、近くには夏イチゴの生産者もいて、栽培について惜しみなく教えてもらえた。1年目は12月下旬から出荷が始まりクリスマス需要に間に合わなかった。2年目は夜冷処理を施し11月下旬からの出荷でトマトが忙しくなる前の5月末まで出荷する。

また、イチゴ栽培を始めることでトマト栽培を見直すきかっけにもなり、トマトの収量の増加にもつながった。「イチゴ栽培を始め消費者との関わりが増えた。規模拡大に向け必死にここまできたが、農業という仕事の本当のおもしろさを実感できるようになった」と笑顔を見せる。

農場の様子

今後は法人化も視野に、トマトは産地形成に向けて2haまで拡大を計画。イチゴは地元需要とのバランスをみながら地域に根差した品目への成長を模索する。
農業での起業から十数年、先輩農家や地域の方々など多くの人と出会い支えられ経営を進めてきた。支えてくれた方々に感謝しながら、農業のおもしろさを噛みしめている。

農業を始めようと動き始めた頃は、新規就農者の支援制度も確立されていない時代。研修中はアルバイトをしながら農業を学んできました。ゼロから挑戦した農業の道も、多くの方の支えや協力を得ながら成長を続けています。現在は法人化も視野に、雇用は地域の米農家とアルバイトの共同募集も行っています。「何もない所からでもできるという模範になれれば」と話します。

プロフィール

玉山 龍輔

玉山 龍輔 たまやま りゅうすけ さん

仕事が趣味みたいな生活でしたが、今年は家族との時間も作っていきたいです。

※広報誌「夢郷」 2026年4月号掲載時の情報です。掲載情報が変更となっている場合がございます。