農のかたち〜私流〜

目が行き届く 飼養管理を

八幡平市の実家で祖父母と父と4人で搾乳牛30頭と育成牛25頭を飼養する蓮さん。祖父が好きな酪農家キーニイの牛飼い哲学の言葉を牛舎に掲げ、それを胸に酪農経営をしている。飼養する牛たちは牛飼い次第で良くも悪くもなることを念頭に、1頭1頭人の目が行き届く飼養管理が祖父の代から引き継がれている。

牛好きな家族の中で育つ

祖父の代から始めた酪農業。牛の良し悪しは牛飼い次第という気持ちで牛に接する家族の中で育ち、小学生の頃には酪農の仕事を継ぎたいと考えていた蓮さん。「家族みんな牛が好きなんだと、小さい頃から感じていました。そんな中で育ったので自分も物心がつく頃には牛が好きになっていました」と話し、時間がある時には手伝うなど牛と関わって成長してきた。

牛の飼育をしている様子

小学6年生の時、初めて共進会に出品する牛の世話をした。「普段は牛舎の中にいる牛を外に出したりするので最初は苦戦しましたが、慣れてくると自分の思う通りに動いてくれるようになりました。牛の素直さも感じましたが、牛も人を見ているんだなぁと幼心に感じました」と話す。

中学2年生の頃には牛について勉強したいという気持ちも強くなり、盛岡農業高校へ進学。高校でも共進会に取り組み、毎日欠かさず手入れをしていた。「牛は日によって雰囲気が違うこともありました。でも、毎日続けていくと牛も慣れてきて、コツコツ続けることの大切さを学びました」と話す。高校卒業後は、北海道に研修に行くことも考えたが、将来実家を継いだ時に近くに仲間がいて交流できればと考え、岩手県立農業大学校へ進学。規模の大きな酪農家のバイトなどでも経験を積んできた。令和5年春の卒業を機に実家に戻り、家族と一緒に酪農家として歩み始めた。

牛の飼育をしている様子

目が行き届く飼養管理を

「1頭1頭手を掛けて、長く飼える牛にしていきたい」と話す蓮さん。改良も手を抜かず、共進会にも積極的に取り組む姿勢を見せている。「共進会に行けば先輩の酪農家の人が多く、色々話しができ勉強になります」と話す。昔は良かったが今はダメなこともあり、飼い方や餌を変えるなど日々牛と向き合ってきた祖父母や父の背中を見てきた蓮さん。「牛は1頭1頭個性があり違うので、同じことを続けていれば大丈夫ということはないと思っています。酪農家の先輩とも交流を深め、若いうちに色々な事を学んでいきたい。他を見る事で学びや発見が必ずあると思っています」と話す。

今は家族で作業を分担しているが、今後は牛を見る目も養いながら酪農経営というところも視野にいれている。祖父が牛舎に掲げている「酪農家キーニイの牛飼い哲学」の言葉を忘れずに、すべての牛にしっかり手を掛けられる酪農家を目指す気持ちは、小さい頃から変わっていないようだ。

牛の飼育をしている様子

そして「家族のおかげで、牛に関わることができて感謝しています」と、今の気持ちを口にする笑顔の蓮さん。好きな牛と共に生きていく「牛飼い」としての将来が楽しみだ。

牛の飼育をしている様子

プロフィール

渡辺 蓮

渡辺 蓮 わたなべ  れん さん

バレーボールが好きで地元のクラブチームに所属し試合に出場するほか、中学校ではコーチも務める蓮さん。

※広報誌「夢郷」 2024年3月号掲載時の情報です。掲載情報が変更となっている場合がございます。